広島市を中心としたエリアのラーメン事情を一方的に執筆

SEN-NO-SEN

sen no sen
広島市中区中町6-30
082-242-1909
11:30-13:00
店休日 日・祝日
https://www.facebook.com
閉めたという

和食・京料理の名店『獨楽』が、どういうわけか昼の時間だけ麺屋を開いたという。SEN-NO-SEN。武道の達人であれば誰もが知る『先(せん)の先(せん)』が語源であろう事は想像に難くない。営業時間はお昼の1.5時間のみ。ここはわざわざこの時間に予定を組んで電撃訪問するしかあるまい。

店頭に立てば、店構えは全く同じだが暖簾のみが変わっている。これは新宿2丁目とかでもよく見られるもので、昼の店と夜の店が別々なのである。2丁目の場合は、さらに0時以降はママ(というかオヤジ)が交代し、ボトルの棚も回転してまたまた別のお店となったりするケースもあるが、ここは和食の名店であるし、昼と夜で主も同一だから2丁目とはまた別の話である。

店に入ればグワっと活気があり、しかし獨楽の風情はそのままにあるからいい意味での違和感であるな。

お品書きは紙質も大変よろしく、内容にいたっては無言の風格で身が引き締まる思いである。

ここは4種の醤油で仕立て上げた、主力の『精醤油麺(しょうじょうゆめん 850円)』にてオーダーを通し、あわせて『和牛コウネご飯』での贅沢を頂戴したい。

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例え客であっても日本食にあせりは禁物である。が、抑えきれずに今か今かとギラつきはじめたその時、..逸品との出会いとなる。

sen no sen 精醤油麺

玉子の上にもみじおろしが載せてあり、これを溶かしながら食すことで変化を味わえるのだという。これは食べる側にもその意識と心意気が求められる部分であるな。早速頂くこととしたい。

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うむ、これはあっさり醤油である。器はグッと深く、そこに薄味のスープとプリップリの太麺がある。店の入り口からここに至る過程において、既に和食前提のような心に落ち着いているから、麺屋であっても世間でいうラーメンと同一とは捉えていない。よって、薄味というよりも繊細。奥を探しに行く系であるな。まずは愚直にもみじおろしを溶かし込むわけだが、これが小さなアクセントで、結果的には終盤までの肝となる。

ガッと喰いつかずに、静かに吟味していけば、ネギの刻み方や麺の茹で具合、スープとのバランスまで、実にミリ単位まで狙い澄ました様な凄みがある。表面的には薄味である分、味覚センサーが敏感になり、歯ごたえやら味の混ざり具合までが意識野に展開され始める。

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ここで、登場するのが自家製のメンマであるが、これはブッとく、この歯ごたえにして強靭なるアクセント。この太さの逸物には滅多に出会えるものではないが、味としてはここでも薄味に徹し、メンマ独特のアクの強さ、臭みといったものは撤去。と言うか逆にこの太さで並みの濃さがあったとしたら障害物でしかないわけだが、ここはうまい具合にカドを調和させ、歯ごたえと強烈な印象のみを残して静かに魅せた。ハンター並に狙い澄ました感がここでもアリアリなわけで、私のようなド素人に対してすらそこまで感じさせる導線、伏線などはまさに戦巧者であるな。

チャーシューは芸北豚の肩肉で、チャーシュー麺とは部位を区別してある。同様に薄味であり、やはりベースの価値観は和食であるな。濃い味で舌を圧殺せず、あくまで感度を研がせる向きであろう。一般でいうラーメンであれば、元のスープが強味であるから、それ以外の具で薄味と言うのはなかなか受け入れられるものではないが、食す側がゆっくりと味わう前提で場に挑む和食であればこそ成立する流れかもしれん。もし仮にこの品がマクドナルドなどで提供されようものならば、『ただの薄いラーメン』で終わるか、『マックにしてはあっさりして美味い』程度の評価にしかならない可能性もある。その意味では、食を提供する側には、それが最大限の戦果をあげるべく最善の環境を整える必要があり、その点においても当店は他を圧しているといってよかろう。かつて三方ヶ原で徳川家康が生涯唯一の敗北を喫した際、戦場を整えてまんまと徳川を誘い出した武田こそ戦国最強であり、下地作りや駆け引きにおける稀代の実力。その流れは真田に引き継がれ、大坂夏の陣に至るまで徳川を苦しめ(…以下省略)

そんなわけで卓上にある鰹節を投入。舌の感度が上がっているものだから、ここでも香り花開く。これによって序盤のもみじおろしのピリピリのテイストが微変。そして器はひたすら深く、あとは平安の時が続くのであった。

と、ここでスープを飲み干して箸を置くのもよろしいが、当店の魅せ場はまだ終わりではない。和牛コウネ飯である。

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メニュー表にも記載があるが、米は鉄羽釜で炊いた銀シャリである。お店オープンと同時に炊き上がるのだと言う。そもそもが比較してはならんのだが、ラーメン屋のご飯とは別格である。大粒の良質米の輝きの眩しい事よ。米の硬さ、炊き具合も狙い澄ました達人のスゴみ。撃たれる直前に狩人と目が合うという蝦夷鹿の諦念にも似た吐息か。

竹原の垰下牛だというコウネは薄味で、しかしゼラチン質も豊富な『コウネ』という部位自体が持つ濃密さは肉食そのものである。ここは淡味特濃の名人芸で、寸分を狙う日本民族の伝統工芸。先ほどまでのライトでヘルシーな流れに後に、充分な質量と満足感が加重され、ヨタヨタ歩きで店を後にするのであった。

 

この店の判定は人によってまちまちであろう。古き良き中華そばや、ラーメンど真ん中を愛好するチューニングで訪れれば肩透かし感を感じるかもしれんが、逆に『昼間っから良き品を堪能したい』の心で行けば最良の出会いとなる。

オープンから日の浅い現在ではまだまだ試行錯誤とのことだが、この時点で既に至福の逸品。ド素人にも寛容にして玄人向きの名店であった。

星10

ノーコメントこれから頑張れ発展途上まだまだイケる並まあ良いのでは?なかなか美味いねこれは美味い!!広島最高峰広島の誇り★
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ご意見番の声を聞け!

  1. 平日の12:00~12:30に3回行ってみましたが、3回とも閉まってました。
    もう辞められちゃったんでしょうか?

貴殿の声を聞かせてくれ!

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